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360度カメラTHETAを教育の現場で活用!360度画像を使った新たな学びとは

Posted date : 2020.09.24

今回は、THETAで撮影した360度の静止画や動画を使って新しい学習方法に挑戦している、増進堂・受験研究社 岡田健志さんにお話を伺いました。360度画像を使った新しい学習方法やその効果についてご紹介します。

 

【岡田 健志様の自己紹介】

兵庫県神戸市出身。大阪大学大学院人間科学研究科博士課程後期単位取得満期退学。人間学修士。専攻は、科学哲学・言語哲学。

大手教育サービス会社にて塾講師として長年教壇に立ち、その後、社内研究所にて研究員を務める。教育心理・テスト理論・カリキュラム開発・コンテンツ開発を行う。

大手通信会社にてMOOCの普及に務める。そこでVRに出会い、現在まで教育活用を研究。

現在、株式会社増進堂・受験研究社NEXT LEARNING Lab.主任研究員。最新技術を教育現場へ活用する可能性を探る。理化学研究所AIPセンターをはじめ、複数の大学・企業との共同研究をディレクションしている。

海外ドラマと、ペット(デグー)、新宿御苑を愛する。

岡田様の現在のお仕事を教えてください

現在私は、学習参考書メーカーの増進堂・受験研究社で主に教育分野での新規事業の開発を行っています。例えば、THETAで撮影した360度の静止画や動画を使った学習方法を研究して教材にしたり、その教材を使った学習方法を先生たちが使えるように支援したりしています。

教材に360度の静止画や動画を使おうと思ったきっかけは何ですか?

学生時代からバーチャルリアリティに関わる論文を読むなど、360度映像の活用に関心を持っていました。特に教育現場にいた頃、どんなテーマ・話題・単元であっても、同じ教室環境で授業をしていることに違和感があり、「扱うテーマに応じて、この教室が変化すればいいのに・・・」と思っていました。例えば、「大航海時代」の話をしている時は教室が帆船になり、英語で「若草物語」を読んでいる時にはアメリカの草原となるように。VRを教育に活かしたいと思ったのは、そう考えるようになったのがきっかけですね。

岡田様がTHETAを知ったのはいつ、どのようなきっかけですか?

360度の映像には学生の頃から関心をもっていたので、THETAのことは発売当初から知っていました。量販店で触った時に「これは使える!」と直感しました。幸いにもTHETAは手が出せる金額でしたし、2015年に発売されたTHETA Sでは画質が改善されていることを知り、発売とともに購入しました。やはり、まず使ってみないと真価も可能性もわかりませんから。

2019年には更に高画質化されたTHETA Z1が発売されたので、今はZ1を購入して使っています。

THETAの魅力は何ですか?

THETAが何より素晴らしいのは、カメラの知識や技術が無い人でもシャッターボタンを押すだけで、簡単に360度の写真や動画を撮影出来ることです。ピントを合わせる必要もない。もう一つはスマホのアプリが使い易いことです。撮影から共有までをパソコンを使って編集することなく、ワンストップで他者と共有出来ます。THETA Sを購入した当時はFacebookもLINEも360度画像に対応していなかったので、theta360.comにアップして付与されたURLを他者と共有することで、360度の写真を簡単に他者と共有して見て貰うことが出来ました。このように、誰でも簡単に使えることがTHETAの魅力です。

THETAはユーザーの世界観を変えます。スマホや一般的なカメラでは狙ったところを写しますが、THETAは360度全てが写ります。これによってメディアの概念が変わります。

誰でも簡単に使えるTHETAだからこそ、先生や生徒にも使ってもらえますし、360度画像を使った学習を普及させていけるものだと思っています。

360度画像を学習の中で使うことでどのような効果が期待されるのですか?

二つの点で効果が得られると考えています。一つは360度画像を教材として使うことで得られる効果。もう一つはTHETAで360度画像を撮影する体験で得られる学びの効果です。

まず、360度画像を教材として使うことで得られる効果についてですが、これは情報量の多い360度画像を観察し、その中から必要な情報を見つけ出す、という力が身につくと考えています。フレーミングされた写真は、情報量が限定的ですし撮影者の意図が入ったりします。その限定的な情報から解を見つけ出すことだけでは不十分です。世の中はフレームレスで雑多な情報に溢れています。溢れる雑多な情報の中から必要な情報を見つけ、それを活かす力を学ぶには360度画像は最適です。

Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA

具体的な事例を教えて頂けますか?

上の写真を見てください。これは「正しい方位を示す方位磁石はどちらですか?」という問題です。この問題を小学生に出すと、最初、子供たちは手のひらに乗った二つの方位磁石ばかりをじっと見て、どちらが正しいかを見つけようとします。しかしそれでは正解は見つかりません。この問題の解き方は、①時計の時刻を見て、②影の向きを見て ③その二つの情報と、太陽が東から西に動くという知識を組み合わせて正解を導き出すのです。

英会話の学習でも、テキストの写真を見ながら会話の練習をするより、例えばカフェの360度写真を見ながら英語で会話をする方が、より実践的な学びになると思います。

もう一つの「THETAを使って360度画像の撮影をする」ことによる学習効果は、子どもが自らTHETAで撮影した360度写真を扱い、360度ならではの新しい表現方法を試行錯誤することで、考える力と失敗から学ぶ力が身につくことです。THETAの写真はフレーミングされないので注意しなければ意図しないものも写ってしまいます。それを踏まえて、撮影の場所やタイミングだけでなく、見せ方の工夫や活用方法を考えることも必要です。従来までのフレーミングされたメディアという概念を、フレームレスなメディアという概念にアップデートする体験を得られます。それが創造性の源になり得ます。

以前、360度カメラで撮影した、あるアーティストのプロモーションビデオを見たことがあるのですが、360度動画なのでアーティストだけでなく、アーティストの反対側にはカメラマンなど裏方も映ってしまいます。普通ならそのような対象を消したいと思うところを、「スタッフの視点で視聴できる」と、あえて360度映像にしていました。そのように今までと違う表現方法を見つけていくことで、表現に創造性が生まれていくのだと思います。

(上)花壇に座った視点の360度写真を撮影するためにZ1を設置

最近では近畿大学の『CLOSE CAMPAS(クローズキャンパス)』で2020年9月27日に公開予定のコンテンツのために、事前にTHETAを使った授業を学生さんたちに行いました。例年は「オープンキャンパス」ですが、今年は新型コロナの影響があり、キャンパスを開放することが出来ない。そこで「開いていない(CLOSE)けれど、心理的に近い(CLOSE)」というコンセプトで実施を予定にしています。有志の学生さんたちが、キャンパスに来ることが出来ない高校生の皆さんに対して360度画像を使った施設紹介やゲームなどを企画して制作しています。先輩たちと交流しているような臨場感ある画像をどのようにしたら撮影できるのか、試行錯誤していました。

(上)学生がTHETAに写らないようにしゃがみながら撮影をしているシーン

表現したいものがあると、人は学びを深めます。私は学習者の方の気持ちに火をつけるだけなのですが、その後、行動はガラリと変わります。受け身から主体的になっていく様は頼もしいものがありました。(そのコンテンツはこちらのサイトでご覧いただけます)

360度画像は学びにどのような変化を及ぼすと思いますか?

素直に、360度画像って「楽しい」ですよね!ただ、それだけではありません。

リコーさんと360度画像を使った「発見型教材」の授業を小学校で行った時も、理科は暗記科目だという意識から「考える/観察する/発見する教科だ」という主体的な学習態度への変化がありました。それは授業中でもアンケート結果からも明確に見てとれました。

(上)加藤学園暁秀初等学校で実施した360度画像を使った「発見型教材」の授業の様子

近年、アクティブ・ラーニングやプロジェクト・ベースド・ラーニング、経験学習などが話題になっています。与えられた課題を解くという学習から、自らが何かを観察し、気付き、そこから解くべき課題を構築する学びが重要視されてきています。

それを教師側が成立させるには、まず学習者が「やってみたい!」と思える教材・課題を提示し、なおかつ、自分が気づいたことと周囲の友達の気づいたことが異なっていることにより自分の着眼点以外の複眼的な視野を獲得していく過程がデザインされている必要があります。

360度画像を使った教材は、このような条件を満たしやすいのです。GIGAスクール構想で「一人一台PC端末」が謳われていますが、個人的にはその先に「教員一人一台THETA」を実現し、先ほどのような教材が普及されることを願っています。

なるほど、今までのように教科書を理解し問題集を解くというような学び方とは全く異なるのですね。私もそのような授業を受けてみたかったです。

岡田様はお仕事以外でもTHETAを使われていますか?

はい、THETAは主に旅行先で使っています。THETAは、自分たちが見ている風景と、その風景を見ている自分たち自身も写すことが出来るので気に入っています。普通は誰かに撮影をお願いしたり、自撮りをしたりしますが、その場合には風景は自分たちの背景にしかなりません。私は、旅先で見た風景を、背景としてではなく「自分たちが見ている風景」と「それを見ている自分たち」という形で写真に残したいと思っています。例えば「フラミンゴの仲間の視点」で「フラミンゴと私(と妻)」を一つの風景として残したりとか。THETAはこのように遊び心をくすぐってくれます。構図を考えるのが楽しいですね。

Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA

THETAへのご要望はありますか?

敢えて要望として挙げるなら画素数を上げて欲しいと思います。子どもは観察をしたいものに近付いてじっくり見ます。それを360度画像でも実現するには、観察対象をズームすると思いますが、画素数が高くないと明細な情報が得られません。いろいろな素材を教材にしていくためにも画素数が上がると使える範囲を広げられると思います。

最後に、岡田様の今後の展望を教えてください。

今後も360度画像を活用した学習方法について可能性を追求していきたいと思います。教材メーカーとして360度教材を増やしていくことももちろんですが、子供たちが360度画像を使った新しい映像表現が出来るように支援していきたいと思います。

また、学校や塾の先生が360度画像を活用した新たな学習方法を生徒の皆さんに提供していけるように引き続き支援をして、世の中に広めていきたいと思います。

今日は360度の静止画や動画を使った新しい学習方法についてお話を聞かせて頂きありがとうございます。教育現場でもどんどんTHETAを有効活用してもらえることを期待しています!(中本)

 

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