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THETA Z1 企画・開発インタビュー!~企画担当者編~

Posted date : 2020.04.08

THETAシリーズ最高画質を実現したフラッグシップモデル・THETA Z1が発売開始し、約一年が経過しました。

今回は、そんなTHETA Z1の企画担当者・株式会社リコー 清水祐輔氏に、Z1を企画した経緯やそこに込められた想いについて、インタビューしました!

THETA Z1 企画の経緯

2013年にTHETAの初代モデルが発売開始されてから約7年が経過し、THETA Z1はTHETAシリーズ6代目のモデルとなります。

THETAのフラッグシップモデルとして、THETA Z1ではどのような進化の360度カメラを目指して企画したのかを教えて下さい。

THETA Z1は、THETA Sを発売開始した少し後の2015年秋頃から検討を開始しました。THETA のユーザーアンケートの調査で、高解像度・高感度の画質を求める声が多くあることが分かりました。

また、ガジェッターの方々の使用が多かったTHETA初代モデル発売当初と比べて、一眼カメラを所有しているような写真愛好家の方の利用も増えているようだ、という気付きがありました。

そのため、写真好きな人も満足できるような、静止画の画質をとことん突き詰めた最高の静止画画質モデルを作りたい!と思うようになりました。

Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA

個人的には、写真愛好家の方々にTHETAを使っていただくことで、360度画像の良い作品を世の中にもっと増やしたい、という想いもありました。

清水さんがその中で苦労されたことは何でしょうか?

実は、Z1の企画スタート時には、レンズ開発が先行して始まっていました。レンズや画質の開発においては、かなりの苦労があったのですが(※後日公開予定のレンズ開発・画質開発編記事をご参照ください!)、レンズの先行開発の時点で機種の性格がはっきりしていたので、企画担当者としての苦労はほとんど感じませんでした。

もちろん、搭載したい機能が全部載せられる訳ではないので、限られた条件の中で機能の取捨選択の判断をしていく点については、ハイエンドモデルならではの難しさがあり、最も頭を悩ませたところでした。

THETA Z1の画質

静止画としての最高画質を追求したTHETA Z1ですが、具体的にZ1の画質面での強みはどの点でしょうか?

ひとことで「画質」と言っても、色んな側面があります。Z1は静止画7K(約2,300万画素)という解像度ですが、解像度だけでは表現できない画質にもこだわっています。

例えば太陽光が強い屋外での撮影時、これまでは「赤玉ゴースト」や「パープルフリンジ」、また、白飛びが発生しやすかったのですが、Z1はこれらの発生を大幅に低減させることができました。

【左:THETA Vで撮影/ 右:THETA Z1で撮影】

また、THETA Z1の最大の魅力は1.0型センサー搭載により、高感度撮影に強くなった点です。

そのため、従来のTHETAシリーズでは苦手としていた夜間や屋内の薄暗い場所でも、Z1では低ノイズで美しく撮影することができます。

明るい屋外でも薄暗い屋内においても、基本的な画質が大幅に向上しているということですね。

はい、AUTO設定でJPEGで撮影したとしても、他のTHETAシリーズとの画質の違いを実感することができるかと思います。

使いやすさを追求したTHETA Z1

画質以外でTHETA Z1のこだわった点は、どのようなポイントでしょうか?

通常THETAで何か設定を変えたり確認したりする場合は、スマホとTHETAを接続する必要があります。THETA Z1では、スマホ上ではなくZ1本体のみでできる操作を「もう少し」増やしたい、と考えていました。この「もう少し」という点がポイントでもあります。

THETA本体での操作をもっと多く増やしたい場合は、例えば本体上のボタンを増やしたり、ダイヤルなどの操作部材を追加したりする必要がでてきます。ただ、Z1は既存のTHETAユーザーからの買い替えが多くあると想定していたので、従来のTHETAのサイズやデザイン性、操作性は踏襲したいと考えていました。

そのため、本体上のボタンはひとつのみ(Fnボタン)を追加し、Z1で新たに本体上に追加した表示パネルと併せて、従来のTHETAシリーズと比べて本体でできる操作を「もう少し」だけ、増やしました。

「もう少し」とは、具体的にどのようなポイントでしょうか?

例えば、Z1本体上のボタン操作のみでセルフタイマーに切り替えられる機能や、撮影者が好きな設定をあらかじめZ1に覚え込ませ簡単に呼び出せる、「マイセッティング」という機能です。

マイセッティング機能は、GRシリーズ等のカメラでは当たり前にある機能で、いつも決まったお気に入りの設定での撮影する方にはよく使われている機能です。

Z1は本体上で、露出や絞り値を変えることまではできないのですが、あらかじめ良く使う設定値をマイセッティングに登録しておくことで、本体だけで設定値を変えるような感覚で使っていただきたい、という狙いがありました。

Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA

【Z1 RAW編集作品:Sam Rohn氏】

よくご質問を受けるのですが、RAW+とHDR撮影を簡単に切り替えたいというご要望があります。その2つの撮影は”排他”設定(RAW+に設定しているとHDR撮影ができず、HDR撮影に設定するとRAW+が設定できない)になっていますので、どうしても切り替えるのが煩雑になってしまいます。

そこで、通常はRAW+に設定しておき、マイセッティングにHDR撮影を登録しておけば、本体のFnボタンを押すだけで簡単に切り替えることが可能です。さらに、スマホアプリと接続して撮影している場合も、撮影モード(絞り優先やマニュアルに切り替える)の中でMY(マイセッティング)に瞬時に切り替えることが可能ですので、ぜひ試してみてください。

また、本体のFnボタン長押しで、露出値を表示パネルに表示することもできます。写真好きな方は、AUTOでもどんな露出で撮影されているか気になる方も多いので、撮影前に本体で確認をして、スマホと接続して露出を変える必要があるかどうかの指針にしていただければと思います。

【Z1 RAW編集作品:木村琢磨氏】

簡単に呼び出せるセルフタイマーや、登録した設定値をすぐ呼び出せるマイセッティングなど、本体でできる機能が少し増えるだけで、かなりTHETAが使いやすくなりますよね。

ところで清水さんご自身は、どのような設定をマイセッティングに登録されているのでしょうか?

わたしは、「手持ちHDR、セルフタイマー2秒」をマイセッティングに登録して、自撮り棒とセットで活用しています。

Z1の手持ちHDR機能

昨年秋の本体・THETAアプリのバージョンアップで、THETA Z1とTHETA Vに新たに「手持ちHDR」という機能が追加になりました。

どのような点が強みの機能でしょうか?

この「手持ちHDR」設定は、3脚が不要で、また被写体が動いている状態でもブレずに鮮やかなHDR合成撮影ができる点が強みです。

【Z1 手持ちHDR設定※1脚を使い動く子供を撮影してもブレない】

従来のTHETAのHDR設定での撮影は、ビジネスでも利用できる高品質なHDR画像が得られる代わりに、3脚などに固定して撮影しないと画像がブレてしまうのですが、手持ちや1脚でも簡単でキレイにHDR合成の撮影をすることが可能になりました。

静止しなくてもブレずにHDR撮影できるのはありがたいですね。どのような経緯で機能追加に至ったのでしょうか?

画像処理の開発担当者から、機能の提案を受けたことがきっかけです。そのときちょうど、360度カメラに合う画像処理は何かと相談していたところでした。

360度の画像は画角を選べるスマホや普通のカメラと違って、屋外で撮影すると必ず太陽が入ってしまいます。特に人物撮影をすると逆光で顔が暗くなってしまいやすいため、太陽の位置や影を意識しなくてもキレイに撮れる設定はないかと模索していました。

【Z1 手持ちHDR設定※逆光シーンでも鮮やかに】

HDRで撮影すると、見た時にぱっと鮮やかに映える印象の画像になります。また、3脚を使って固定しなくてもブレに強ければ、より手軽にHDR機能が使えると考えました。

私自身、日中はほとんどマイセッティングに登録している手持ちHDR設定で、セルフタイマーと1脚を組み合わせて使うことが多いですね。

Z1はビジネスや作品作りでも使っていただいていますが、これまでのTHETAの画質では満足できないユーザーの方にも使いやすような機能を入れるように心がけています。

RAW撮影機能について

THETA Z1はJPEGで撮影しても、色んなシーンで簡単にきれいに撮影できるカメラだということですね。その中でもより画質に拘りたい方向けに、Z1は360度カメラとしては初のRAW撮影機能が搭載されました。

RAW対応はどのような背景で企画されたのでしょうか?

「写真愛好家」というZ1のターゲットが企画の中で絞られていく過程で、もうひとスパイスとなる特徴を加えたいと考えるようになりました。

Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA

【Z1 RAW編集作品:Sam Rohn氏】

色んなスパイスを考えましたが、やはり私自身が1番最初に想い描いていた360度でRAW編集された作品を見るためにはどうすればいいか?という視点でRAW対応を決めました。

JPEGの画像はメーカー側が作り出した色で表現されますが、RAW現像では、写真家がそれぞれのシーンに合わせて独自の色を作り上げていくことができます。

シーンごとに合った色を作り上げていくことは、写真を熟知している写真愛好家のユーザーの方々の方が長けているのです。

【Z1 RAW編集作品:木村琢磨氏】

また、RAW対応することで、これまで360度カメラを使ったことがない、普段一眼カメラ等でRAW現像をしているような方たちにも、THETAの新しい映像表現に興味を持ってほしいという狙いもありました。

Z1の価値

THETAシリーズとしては、THETA Vの倍以上の価格になるため、Z1の価格を高いと感じる方も多いと思います。THETA Z1のどの点に、その価値があると思いますか?

これまでお話したことがすべてその価値に含まれるのですが、一言で言うと「このサイズでこの画質が撮れる唯一無二のカメラ」だと思います。

特にZ1はレンズが一番の強みです。THETAらしさを維持しながら、カメラメーカーの技術を凝縮した、企画担当としても、自信を持ってお勧めできるカメラです!

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【Z1 RAW編集作品:Sam Rohn氏】

今後THETA Z1で目指していることは何ですか?

まずはもともとのターゲットである写真愛好家の方々、パノラマフォトグラファーや、ビジネス用途でもぜひもっと活用して頂きたいと考えていますので、まずはそういった方々のご要望をバージョンアップという形で、できる限り反映していきたいと考えています。

また、今まで一眼カメラまでは使ったことがないけど、最高の画質で360度の大切な想い出を残したい、という方にも、ぜひお使い頂きたいです。

最後に、1番うれしかったことは、Z1の発売開始後、世界中の企業や個人の方々に使いやすいプラグインを積極的に開発して頂き、Z1ユーザーのコミュニティの中で盛り上がっていることです。

我々も手が回っていなかった、あったらいいなと思うものが、ユーザーのアイディアでどんどんプラグインとして開発され、リリースされていく・・・思い描いていた世界がまた1つ現実のものとなっていくことにとても感謝しています。

ありがとうございました!次回はZ1のレンズ開発担当者インタビューによる、レンズ開発秘話編です。お楽しみに!

インタビュアー:真砂(THETA Z1マーケティング担当※以下写真右)

編集:平川

写真撮影:大原

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