スキューバダイビングのインストラクターとして活躍され、THETAのヘビーユーザーとしてダイビングでも360度カメラTHETAをご活用されている森田さん。

今日はそんな森田さんに「なぜTHETAを海で使うのか」、その理由や使い方、楽しみ方についてお話を伺ってみました。

森田さんがダイビングに出会ってから今に至るまで

―これまでTHETAのミーティングなどにご参加いただき「とても元気いっぱい愉快でパワフルな人」という印象を感じました。それは少女時代からなのですか?

幼少期は普通の子供でした。外で遊ぶのはとっても好きだったんですが、よく転ぶし、運動神経はゼロ!運動と言えば、鉄棒の前周りができない。今でもできないんですが(笑)。縄跳びもできなくてすぐにひっかかってしまうような子供でした。美術をやっても「センスないね」と言われるような感じ。子供の頃にはカメラもダイビングもゆかりはありませんでした。

―びっくりです!どういうきっかけでダイビングに興味をもたれたのでしょうか?

実は、祖父母が海の家をしていて、毎年夏には親戚が集まっていたので海がとても身近にある環境でした。
なので、ダイビングというアクティビティをするにしてもなにかを見たり聞いてというきっかけがあったわけではなく、お金がたまったら始めよう、と自然と考えていました。

実際にダイビングのライセンスを取得したのは、大学に入った2000年のことで”ミレニアムダイバー”と言われていました。どこかのダイビングサークルに所属していたわけではなく、ライセンスは自分で取得しました。当時、学費は自分で払っていたので、勉強している以外の時間は、ほとんど飲食店や家庭教師、塾の先生などのアルバイトをしていました。且つ、ダイビングをしたい!という気持ちから、アルバイトはそれ以外にも相当がんばっていましたね。

学生時代の後半は、本当にダイビングが好きで、よく潜りに行っていました。おそらく2年で120本から150本ほどは潜っていたと思います。

ー海外で暮らし、ダイビングもされていたと伺いましたが、海外志向が強かったのですか?
大学卒業後に就職した会社では、海外の現地法人の運営に関わる業務に携わっていました。
その中で、特に東南アジアでの人材育成や教育の現場に触れ、自らの力で誰かをエンパワメントするお手伝いができたらいいなという思いが日に日に大きくなっていきました。

仕事の区切りがついた段階で勇気を振り絞って会社を辞めて、その当時、仕事でよく行っていたタイに「ここなら住めそう」ということで移住しました。それまでは、レールに乗った生活をしなければダメだ。高校を出て、大学を出て、ちゃんとした企業に勤めて、頑張らなきゃ!という思い込みがあったんですが、海外での仕事と生活を通して、仕事の目的や生き方について深く考え移住という行動に移す心の準備が出来ていたのだと思います。移住した後は、大学の時に「教える」というロジックがどうなっているかに興味があり、日本語の先生の資格を取得していたこともあり、現地の語学学校で働きました。

タイでの海外生活が5年くらい経ち、そろそろ日本に帰ろうと考えていたときに、「せっかくタイに5年居て、自分の気持ちがプラスマイナスゼロになったのなら、後はタイを楽しむ時間にしたらどうですか?」というアドバイスをもらって、タイで大好きなダイビングのインストラクターを取得しました。会社に入って以降は仕事が忙しく休みがなく、あまりダイビングはできていませんでした。久しぶりに海にはいると「あ、そっか。こういうことが好きだったんだ私は」と、ダイビングが忘れていた自分の気持ちをもう一度見つめ直すきっかけになりました。

ダイビングの魅力について教えてください

ーぜひダイビングインストラクターの森田さんが考えるダイビングの魅力について教えてください。

ダイビングの魅力や、どこに面白さを感じるかは千差万別で語り尽くすことは難しいです。

私の個人的な話をすると、海が好きというよりも幼少期から身近にあって自分の一部でした。水中は非日常や別世界と良く言うけれども、私のなかでは「くつろげる場所」「好きな場所」という認識で、自分の生活の延長線上に海がありました。今でも、あの魚が見たいからあのスポットに行こう!という明確な目的よりも、時間があるときは海に行きたいな、という気持ちでダイビングに接しています。

インストラクターとして多くの方と接するにあたり、ダイビングの何に興味を持ったのか?どういった部分が好きか、ということを常に意識して敏感でいるようにしています。
これは教師というバックグラウンドのせいもあると思いますが、質問の内容や表情などから、魚が好き、アドベンチャーが好き、学ぶこと自体が好き、器材に興味があるなど、それぞれがダイビングに求めるものや目的に寄り添って、その人が魅力に感じていることや興味を持っていることをできるだけ大切にしながらインストラクションしています。

ーダイビングに興味を持った方はどうすればスタートできますか?なかなかダイビングを始めるまでのステップが分かりづらくハードルが高いと感じます。

まずは海の世界を覗いてみたいというのであればスノーケリングから始めることが良いと思います。とにかく身近な水に入ってみるということがおすすめです。スノーケリングでもTHETAとハウジングをもっていればそれだけで素敵な写真を撮ることができると思います。

その後にやっぱりもっと海の中に入って見たいわ、ということであれば、ダイビングショップに行くことがおすすめです。ダイビングショップによっていろいろと特徴があるので、ネットで検索して自分に合いそうなところ見つけるところからスタートですね。

THETAとの出会いは?

ーここからはTHETAについて伺って行きたいと思いますが、もともとカメラは好きなのですか?

もともとカメラに特別な興味があったわけではありません。カメラを始めたのはダイビングの水中写真がきっかけです。
初めて自分でカメラを買ったのも2000年にダイバーになったときで、ちょうどFujifilmが35万画素ぐらいのデジカメと純正防水ハウジングを発売したんです。それがお正月特価で4〜5万円ほどでとても安価に手に入れました。

水中カメラを購入した目的は、綺麗な写真を撮ることではなく水中で発見した魚を撮影して「なんていう名前?」と陸上で聞くための記録用途でした。もし水中カメラがなかったらダイビングも続けていなかったんじゃないかな、というくらい影響を与えてくれました。その後、何台か水中カメラは乗り換えたりもしましたが、一眼レフのような大きいカメラは自分には扱えないと思っていたので、カメラに求めることは水中に持って行き易いコンパクトさが第一優先でした。

ー水中カメラが陸にあがった瞬間はいつなのでしょう?

それがTHETAなんですよ!(笑)実は自分で買ったのではなくて主人からのプレゼントだったんですが、もらったTHETA m15は水中用途では無い初めてのカメラでした。

部屋で一枚目を撮った時が本当に衝撃的で「なんだこれは!」と(笑)。カメラなのにカメラじゃないと衝撃を受けました。面白いなとワクワクした。そして360度の写真をどう使えばよいかな〜と一晩考えて、みんなでぐるっと写ったほうが面白いのでは?と、周りのダイバーを集めた飲み会の写真を撮って楽しんでいました。水中にも持っていきたいな、と思いつつ陸で楽しんでいました。

そこではじめて「カメラ≒記録用」と考えていた自分の考え方が変わりました。THETAは360度写るので、同じ写真でも切り取り方や編集によるアウトプットが人によって全く違うんです。
「カメラで画角を決めて綺麗な写真を撮る人」には敵わないかもしれないけど、「後で編集することで自分が好きなものを表現できる」というカメラの新しい楽しみがTHETAにはあったんです。
見せたいものどんなふうにして見せるか。写真を撮る瞬間だけでなく、撮った後に考えられる。そういうところがTHETAの面白いところだなって。

ーその後THETA純正ハウジングも出てダイビングで本格的にご利用頂いているということですね。

そうですね。純正ハウジングが発売される前にも高価なオーダーメイド製のハウジングを借りて試してみたり、THETA用ハードケース TH-2もプールで一回試したんですが、シャッターが押せないのでインターバル撮影で撮らなければいけない、浮力が強く水中に沈めるのが大変でダイビングで使うことは難しかったです。

このTW-1が出てから本格的にTHETA の水中撮影を楽しんでいます。

他のGoproのようなアクションカメラは動画の印象が強くて、私にはあまり動画を撮るというイメージがありませんでした。
水中で使うTHETA以外のカメラに私が求める条件は「どれだけマクロ撮影が可能か」ということです。

ダイビング中は爪の先ほどの大きさしかない魚や生物をカメラの顕微鏡モードで撮影します。

THETAを水中で使う楽しみ

ーでは、あえてTHETAを水中に持ち込んで360度を水中で撮る楽しみについてお聞かせください。

こちらも似てますが、「小さい魚や生物をTHETAの360度でいかに大きく撮るか」ということですね。
普通の水中カメラで撮るときは顕微鏡やマクロモードで被写体にかなり寄って撮影します。すると被写体そのものは鮮明に写せても彼らがどんな場所にどのような格好で住んでいるか、という全体感が消えてしまうのです。たとえば、タツノオトシゴがいました。タツノオトシゴをクローズアップで撮ることはとてもカンタンです。でも、タツノオトシゴがどのくらいの大きさだったかっていう相対的なスケール感や住んでいる場所の情報はTHETAじゃないと写せないんです。

この今までのカメラにない感覚で小さい生物を撮れるっていうことが面白いですね。

もちろん、海が綺麗で透明度が良い時は、海の中の写真も楽しいです。やはり上下左右全部が水の空間ということはダイビングの醍醐味です。

また、THETAならではの面白いところですが、他のダイバーチームとすれ違うときに普通のカメラを向けても反応悪いけどTHETAを向けると手を振ってくれたり反応がとてもよいです。
普通のカメラだと、カメラに対して演技をするじゃないですか。でもTHETAだと威圧感がなく自然な雰囲気がでる。THETAのどこを見たら良いかわからないという所から来ているのかもしれませんが「カメラ」というモノに対する固定的な構えや反応がありません。街や飲み会で撮るときもスマホで撮った固まった感じに比べてとても自然な表情を引き出せます。

ーTHETAで撮ったお気に入り写真はありますか?

●小さいものチャレンジ_タツノオトシゴ

今、まさに説明した一枚なんですが、これは絶対THETAじゃないとれない一枚なんです。
どういう形で生息しているのかというのが本当に良く現れている写真だと思います。タツノオトシゴが普通に浮かんでいるものだと思っている人たちにとっては、タツノオトシゴがカモフラージュできるような藻にからまっているのが好きなんだよ、ということがひと目で伝わると思います。

今後もこういった写真を撮っていきたいな、と考えています。

●地形おもしろ加工

これは海の一部をクローズアップした「砂紋」の写真なのですが、THETAでないと絶対撮れない一枚です。超広角のレンズでも厳しいとおもいます。

ダイビングの動画もご覧いただけます。

ダイビングでTHETAの使い方、設定、使用アイテムなど

ここからはプロのダイビングインストラクター兼THETAのヘビーユーザーである森田さんにTHETAの使い方、設定、アイテムについてお話を伺ってみたいと思います。

ーTHETAの撮影設定を教えてください。

撮影設定はいろいろやってみたんですが、いま私は完全に「AUTO」で撮影しています。
水面に浮かんでいる時と、潜った後の水中では明るさの差がかなり大きい(>>参考360動画)のでシーンごとに露出をどう合わすかがとても難しいんです。
だから私はTHETAのAUTOに任せてしまっていることが多いです。結構AUTOは優秀だと思います。水中モードがあれば嬉しいんですけどね。

ーシャッターはどうしていますか。

セルフタイマーで撮るか、ボタンをプッシュして撮るかはその時のシチュエーションによります。
今はプラグインでセルフタイマーと通常撮影と動画の切り替えができるプラグイン「Self-timer Locked」があるんですけど、これはリコーにリクエストしたら作ってくれたんですよ!

このプラグインがあることで水中での使いやすさは格段に良くなりました。それまでは動画も撮りたいけど、セルフタイマーでも撮りたい、ということが出来るようになりました。

ー水中ならではの自撮り棒の使い方について教えてください。 ユーザーさんからどのよう自撮り棒がよいか?という質問がとても多いです。

今はGopro向けに販売されている錆びないプラスチック製のひねって固定するタイプを使っています。
鉄製の自撮り棒はどれだけ洗ってもすぐ錆びてしまいます。最初は1000円くらいのものを2〜3回使い捨てで使っていました。

最近は自撮り棒はあまり使わなくなってます。というのも実は、自撮り棒は結構運用が難しくて、本当に集中して撮影する時以外は使用頻度は低めです。
自撮り棒を使用するデメリットとして、自撮り棒側にしかストラップを付けられないことです。両方にストラップを付けるとTHETA側のストラップが水中をフラフラ漂って写真に写り込んでしまいます。

THETAと自分をつなぐストラップがないとTHETA本体が紛失する心配がありますし、写り込みが少ない細めのストラップを試してみたり、撮影するときは自撮り棒にストラップを巻き付けて撮影することもあったんですが、ハンドリングも悪いし自撮り棒とTHETAのストラップのどちらもケアするのがとてもめんどくさいんです!

なのでTHETAのストラップをカラビナで直接胸元につける方法が一番楽で安全だと思ってます。


陸上でもバシバシ撮って手が映り込むんのだから、水中でも別に指が写っても良いじゃないか、と私は思うので、今はそのままカラビナをダイビングのジャケットのベルトに取り付けて水中に持って行き、手持ちで撮影することが多いです。

なにか自撮り棒用のアイデア製品があればいいんですけどね〜、撮影しているときだけストラップを外しやすいものとか・・・

ちなみにこのストラップは水中カメラ用のストラップです。このストラップも結局写り込んでしまうのでなるべく色がない方が良いかな、ということであえて赤色を選んでます。水中だと赤は減色して色が消えやすいのです。

ーTHETAに対するご要望をお聞かせください。

しっかりした防水じゃなくていいから、本体に生活防水だけでも付けて欲しい。ほんとお願い〜!!
ハウジングを使用してどれだけ気をつけていても、なにかの拍子にちょびっとだけ水がはいってしまうことがあるんです。そのときに生き残れるかどうかがにかかっているのが生活防水なんです。THETAってダイビングだけじゃなくていろいろなスポーツでも使うじゃないですか?ちょっとした防水、防塵性があれば助かります!

あとはやっぱりハウジングが素材的に傷が付きやすい。ハウジングも大事なんですけどハウジングを持っていくための巾着とか収納系のアタッチメントあるともっと海に持っていきやすくて嬉しいです。

ー森田さんの今後のご展望を教えてください。

先月で会社を退職し、今年はもっとたくさんダイビングに行ったりTHETAで写真を撮ったりする時間を大切にして行きたいと思っています。

今はダイビングインストラクターとして、もっと海を楽しんでもらうために水中で撮ったTHETA写真をInstaxでプリントして渡しています。
ぱっとスマホで加工してWifiでデータを移してその場でパパっと印刷して渡して差し上げています。それだけで海の思い出もTHETAの楽しさも伝わり、印刷して残すことで見た景色が記憶として色褪せないと好評です。

ー印刷した写真を拝見すると最近のものが多いですね!

実はこれを始めたきっかけがリコーの2019年3月のイベントの時の袋のノベルティで、「これは黒丸が365個、月の日数順に並んでいて365日撮ってもらいたいというメッセージが込められています」という説明を聞いて、365日シータで毎日一枚撮ろう思いたちました。ただ、データで残すのはカンタンだけれど、INSTAXでアウトプットして形になる方が面白いなと思って。たとえ家に居た日であっても、一枚撮って365日記録にすることを目指そうと5月1日からスタートしました。

今年はもっともっと大好きな海とTHETAの写真がふえたら嬉しいなって思ってます。

一年後にはこのテーブルいっぱいにTHETA写真があるということですね!
その時は是非またお話聞かせてください!ありがとうございました。(大原)

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森田安奈さん

Instagram:@5884anna

ダイビングのお問い合わせはこちら; koju@hf.rim.or.jp

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