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RICOH THETA X 開発ストーリー(タッチパネルUI)

THETAについて

Posted date : 2022.08.25

RICOH THETA Xは、RICOH THETAシリーズで初めて本体に大型タッチパネルを搭載したことで、より使いやすくなりました。ただ、大型タッチパネルの搭載は、THETAの開発メンバーにとって、新たなTHETAのUI(ユーザーインターフェイス)をゼロからつくりあげる、という大きなチャレンジでもありました。

今回は、タッチパネルのUIをどのようにして検討したか、その裏側のエピソードを、プロジェクトのメンバーにインタビューしました!

右から

清水祐輔 (商品企画・UI設計)
渡部剛史(ソフト設計)
榎並英司  (Product Manager)
河俊光(プロダクトデザイン)

タッチパネルのUI検討

THETA Xに、RICOH THETAシリーズとして初めて、大型タッチパネルを搭載することになった背景を教えてください。

清水(企画):THETAシリーズは発売当初から、撮影した画像の閲覧や細かい設定変更など、スマホと接続することが前提でした。多くのユーザー様にご利用頂くようになったことで、「もっと気軽に360度を楽しみたい」という声も多くなりました。

これまでのTHETAシリーズの機種では、撮影した360度画像を周りの人に見せるまで、一旦スマホにデータを転送する、という「間」が発生します。その点が、360度カメラは扱いが面倒くさい、と思われてしまう理由のひとつになっていたと思います。大型タッチパネルを搭載し、撮影した360度画像をその場で再生することができれば、「面倒くささが無くなり使ってもらう機会も増えるだろう」と考えました。

確かに、スマホと接続することで初めて撮影画像を閲覧できる点が、これまでのTHETAの特徴でしたね。

清水(企画):また、THETA VとZ1ではAndroid OSを搭載したことで、プラグイン開発という形でTHETAを活用していただけるようになりました。ただ、THETA VやTHETA Z1では本体にタッチパネルを搭載していないため、本体上でメニュー操作を行うための制限が大きく、アプリの操作性に対して自由度が低いという制約がありました。

今後、THETAを活用したプラグイン開発の可能性を更に広げるためにも、次の機種では大型のタッチパネルを搭載したいと考えていました。

タッチパネル上の新しいUIは、どのように検討していったのでしょうか?

清水(企画):THETA X検討の早いタイミングで、この機種のポイントは「タッチパネルのUI」になると思っていました。ただ、これまでのTHETAには本体にタッチパネルがなかったため、THETAの開発チーム内でUI設計担当者が不在でした。最初のUIの案を開始するにあたって皆で議論しながらではすごく時間がかかると思い、本体企画担当の私が、最初のUI遷移図の原案を考えました。

Photo by RICOH THETA X 11K, HDR rendering – Spherical Image – RICOH THETA

THETA X 11K HDR 

企画担当の清水さんが、UI設計担当も兼務されていたのですね。

清水(企画):THETA XではゼロからUIを作り上げる必要がありましたが、ゼロから何かをつくることは、なかなか経験できることではありません。ぜひ自分でもチャレンジしたい、自分の考えるベストなUIを搭載したいと思い、自ら進んでUIの原案を作り、気が付いたら自分がUI設計担当のようになっていました(笑)。

初めて作るUIということで、プロジェクトのメンバーの間で検討中に議論も多くあったのではないでしょうか。

渡部(ソフト):UIの案を具体的に仕様書に落とし込む際、細かくソフト上の制御と仕様の整合をとる必要があります。そのため、仕様ひとつひとつに対して、開発メンバーたちの間で細かい確認がありました。議論になったこともたくさんあります。THETAの企画・開発担当者たちは、やりたいことを言うだけでなく、実現に向けて動いてくれる、熱意のある人が多いと感じています。

ソフト開発担当である自分の仕事は、企画担当の清水さんが「やりたい」と思うことを、実際の仕様に落とし込むことでもあると思っています。清水さんの考える「THETAに最適化されたタッチパネルのUI」がTHETA Xとして実現できて、ユーザーが使いやすく感じていただければ嬉しいです。

左:渡部剛史(ソフト)、右:清水祐輔(企画・UI設計)

THETA Xはこれまでのスマホ用THETAアプリからの操作だけでなく、本体タッチパネルのUIからも操作できるようになったので、開発上の確認作業も多かったのではないでしょうか。

角田(ソフト):THETA Xは新たにタッチパネルが加わったことで、ひとつの動作に対して、本体とTHETAアプリの両方からの操作できることになります。これは、評価の工数が従来と比べて倍になる、ということでもあります。どのように効率的に評価工数を抑えるか、という点も工夫が必要でした。

今までのTHETAの機種とは違う、様々な課題があったのですね。

榎並(PM):THETA Xのタッチパネルの新しいUIでは、担当した企画の清水さんはじめ、開発メンバーたち全員がとても頑張ってくれました。今後もしタッチパネルを搭載する機種が出る場合は、THETA XのUIがベースになるでしょうし、次の機種にもつながるUIになっていると思います。

Photo by THETA X 11K HDR rendering – Spherical Image – RICOH THETA

THETA X 11K HDR 

THETA XのUIのコンセプト

THETA XのUIのコンセプトをお聞かせください。

清水(企画):スマホのように片手(親指)で簡単に操作できて、すぐに撮影できるUIを意識しました。また、THETAスマホアプリと併用しても違和感ないようなUIにしたい、と考えました。一般的な小型カメラのUIと大きく乖離しないようにも気を付けました。

スペースが限られているこの撮影画面には、バランスよくアイコンが配置されていますね。

清水(企画):電源を起動していつも最初に表示される撮影画面は、ホーム画面の役割もあります。撮影画面には、大きな画面に必要な情報を効率よく表示し、よく使う機能の切り替えボタンも配置しました。

松下(デザイン):THETA Xは、THETAとしては大型液晶ではありますが、スマホと比べると小さい画面サイズです。そのため、文字の大きさやボタンのサイズ、またその間隔のバランスなども、デザイン的に考慮しました。また、この撮影画面には、実際は撮影前プレビューも同時に表示させています。そのため、プレビュー画像の快適な操作と、分かりやすいボタン表示を両立させる必要がありました。

この撮影画面を上下左右にスワイプすることで、他のメニュー画面が表示されるのですね。

清水(企画):上下左右に画面の端をスワイプすることで、カメラ設定画面や、再生サムネイル画面などに遷移することができます。直感的でベーシックな画面遷移であるように、意識しました。

撮影画面を左から右にスワイプすることで表示される「再生画面」では、撮影した画像をすぐに見ることができます。

撮影した360度の動画や静止画が、すぐに再生画面で確認できるのは便利ですね。

また、撮影画面を上から下にスワイプすることで表示される「カメラ設定画面」は、スマホのようなレイアウトと操作性を意識しました。簡単にON/OFFできると便利な機能は、大きなアイコンで表示しています。

無線LANルーターとTHETAを直接接続するクライアントモードの設定や、Bluetoothデバイスとの接続設定も、スマホと同じような操作性で簡単に設定できるようにしています。これもタッチパネルのUIにした特徴です。

撮影画面を右から左にスワイプすることで表示される「プラグイン選択画面」が表示されます。THETA Xでは、起動対象にできるプラグインの数に制限がなくなりました。また、本体のみで、簡単にインストールすることができるようになりました(※クライアンモードの接続が必要です)。

※ THETA XのタッチパネルUIについて、詳細はこちら

松下(デザイン): THETA Xでは、プラグインメニューのさまざまな操作も、本体タッチパネル上で行うことができるようになりました。起動時には、プラグインのガイドを表示させるデザインにもしています。また、表示させるプラグインの順序の入れ替えや、削除も簡単に行うことができます。

今後THETA Xのプラグインの数がもっと増えていくと、さらに楽しみが広がりそうですね

清水(企画):まだ対応しているプラグインの数は少ないのですが、今後THETA Xで使うことができるプラグインも、徐々に増やしていく予定です。外部の開発者の方々にもぜひ、THETA Xのプラグイン開発にトライして頂けると嬉しいです。

Photo by RICOH THETA X 11K, HDR rendering – Spherical Image – RICOH THETA

THETA X 11K HDR 

THETA Xの今後

THETA Xは今後どのような方々に、使ってもらいたいと思いますか?

角田(ソフト):THETAはビジネスで使える要素も、趣味などに使える要素も、両方持ち合わせている点が特徴だと思います。ひとつのものに特化せず、万能に使ってもらえるような、このTHETAの特異なポジションを、THETA Xではさらに確立していってもらいたいです。

渡部(ソフト):THETAを以前から知っている人にも、知らない人にも、ぜひTHETA Xを使って頂きたいと思います。使ってみて、ユーザー様から色々な意見をもらえると、嬉しいです。

清水(企画):THETA Xの新しいUIの検討は大変なこともありましたが、皆で寄り添って作り上げたものだと思っています。実際にTHETA Xの試作機ができて、皆で操作をしながら、「ここが使いにくい」「もっとこう改善した方が良い」など、メンバーたちからも色々な意見をもらいました。開発やマーケティングのメンバーたちは、いわば「最も身近にいるハードユーザー」ですので、非常に厳しいユーザー目線での課題提起によって量産直前にUIを変更した箇所もあります。

ユーザー目線のこだわりがいっぱい詰まったTHETA Xですので、以前はTHETAを使っていたけど最近あまり出番がないなぁという方に、ぜひ新しく生まれ変わったUIを体験していただきたいと思っています。

次回は、画質・光学・エレキ設計に関するエピソードをお届けします!

編集:平川
撮影:大原

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