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インタビュー

今注目の360度クリエーターSujit ChachadさんにTHETAでカッコいい写真、動画をつくるコツを聞いてみた。

Posted date : 2019.06.05

Sujit Chachadさんはインドご出身、CGクリエーターとして日本でご活躍されてます。

THETAを使った360度クエリーターとして非常にクリエイティブな作品を多数発信されている彼に、バックグラウンドから、360度写真に興味を持つようになったきっかけ、THETAでかっこいい写真や動画をつくるコツについて伺ってみました。


photos by Sujit Chachad

Sujitさんとリコーの初めての出会いは2018 年10 月の撮影MEETING(>>THETAで360度マップを作ろう横浜MEET)。
その後のイベントにも毎回積極的に参加いただき、THETA Vのファームアップデートのプロモーションビデオ制作にもご協力いただきました。

 

Sujitさんの自己紹介

―今日はよろしくお願いします。THETALABでのインタビューで初めてSujitさんを知る方も多いと思います。

まず、これまでのバックグラウンドやキャリアについて改めてご紹介していただけますか?

 

僕は、ムンバイの都市部から30分くらいの場所ターネー出身、CGクリエーターとして日本で働いている1981年(昭和56年)生まれの37歳です。

―ご年齢以上に若く見えます。どんな少年時代でしたか?

フレンドリーな少年でした。両親がともにトラディショナルなファインアーティストの一家に生まれたためか、アートに関心が強かった。

そして勉強が嫌いな子供だった。1998年に高校を卒業する時に2つの選択肢があったんだ。勉強するか、芸術の道に進むか。

僕はそこで必然的に芸術の道を選択した、嫌いな勉強をしなくても自分の創造性があれば良いからね。

そしてアートカレッジ「Rachana Sansad College」に進学したんだ。専科はカリグラフィー、フォトグラフィー、イラストレーションがあり、僕はイラストレーションを専攻した。

 

―イラストレーションというと、パソコンのアプリケーションを扱うようなものなのでしょうか?

基本的には手で描く。鉛筆、チャコ―ルアート、オイルペン、エアブラシなんでもこいさ。もちろんPCを使ってフォトショップ、CorelDRAWといったソフトウェアを駆使し商用デザインについても学んだ。

そしてポスター、テレビCM、ビジティングカード、パッケージなどのデザインから、キャンペーンやコミュニケーションといったプロジェクトのやり方まで、コマーシャルの全体をどうデザインするかということを学んだ。

その学校で学ぶにつれ、自分の興味関心がアニメーションにチェンジした。なぜなら芸術家として、より専門的な知識が必要な領域だと思ったから。2002年に卒業した後も、アニメーションの学校に入ってフルタイムで3DSMAXやMAYAのソフトウェアの使い方について学んだ。

 

―その後、インドでアニメーションのお仕事をスタートしたのですか?

2003年からインドで仕事を探し初め、たくさんのスタジオに履歴書を送ったけど1年半はアニメの仕事はなかった。アニメーションの仕事はとても人気で大きな競争がある。

そこでTVや動画のエディターをやっていた。これがタフな仕事で、特にキツかったのがセレブパーティの撮影。夜撮影してその翌日に納品ということをやっていたら、半年もしないうちに病気になって丸3ヶ月入院する羽目になってしまった。

「もうそんな働き方はするな。」と家族にさとされて、改めてアニメーションの仕事を探しはじめたらラッキーにもMaya Entertainmentという大手に採用が決まった。

そこからようやく自分のメインのキャリアがはじまったんだ。Mayaでは4年半CGクリエーターのライティングアーティストという職種で働いた。

 

―ライティングアーティストとは、どのような仕事なのですか?

CG制作は大きく「モデリング→ジョイント→ライティングコンポジット」と4つの工程と専門に分かれている。

その中で僕はライティングアーティストとして、CGに光、照明を付与して行く仕事を担当していたんだ。

 

―ライティングに関しての圧倒的な知見からか、Sujitさんの作品はとても印象的に仕上がっているのですね。
その後はどのようにして日本との関係が生まれたのでしょうか?

その会社とは契約が終了したので仕事を変えなければならなかった。そしてアメリカの映画製作会社DreamWorksのインド拠点で仕事を始めた。ちょうどその当時、インドの友人の何人かが日本で働いていた。彼らから「日本のアニメ業界が良い」。という噂をよく聞いていてゴジラ3部作などで有名な日本企業ポリゴンピクチュアズに応募したら受かった。そして経験を得るため日本に行こうと決心した。2010年の出来事だったね。

 

―始めて日本に来た時どのように感じたのか気になります。

空港から白金高輪のオフィスにバスで直行した。友人が働いていて鍵を受け取る必要があったからね。タクシーに乗る時にドアが自動で開いたことに衝撃を受けた。何だこれは!と。そして、家の近くに着いたはずが案の定道に迷ってしまい通りすがりの日本人に話しかけたら家の前まで連れて行ってくれた。綺麗でとても優しい国という第一印象を持った。

日本ではライティングアーティストだけではなく、その次工程のコンポジッティングアーティストとしても働いていた。この工程はインドでは2セクションだったけど日本だと1セクションだったので僕にとっては新しいチャレンジだったよ。5年前に、ポケモンなどで有名なOLMデジタルがちょうどCGセクションを作ろうとしていたのでジョインした。今はスタジオアティックで働いている。

―どういったお仕事を手がけられてきたのですか?

ざっと言うと、
「シュレック DVDスペシャルの”Scared Shrekless”と “Christmas Shrektacular”」「マダガスカルの”Madly Madagascar”」「メガマインドのCM」「トロン アップライジング」「パックマン」「サイボーグ009」などかな。

もともと日本に来たのは経験を得るためで、1年しか滞在するつもりはなかった。が、妻に出会って人生が変わった。

先週末はまるっきりTHETAのプロモーションビデオの撮影をして家を空けていたので、今週末は完全なPapa day(パパの日)だよ(笑)

 

360度の世界に興味を持った理由

―SujitさんがCGのプロフェッショナルということは良く分かりました。次の質問では、どこで360度写真へ興味をもたれたのかお聞かせください。

CGの仕事でHDR360度イメージを購入して扱っていたんだ。

 

―あ!言われてみれば確かにCGって360度ですね。

でも、その購入したイメージをどうやって作っているかというところには全く見当がつかなかった。僕たちはただダウンロードして使うだけだからね。

たまたまインターネットで、HDR360度イメージの作り方を見かけたことがある。ツルツルの鉄球を部屋の真ん中において一眼カメラで撮影し、特別なソフトウェアで展開することで360度画像を作るというもの。なるほど!と思ったけど、鉄球を購入したり一眼カメラを購入したりするのは高くて大変だから画像を購入して使うほうがいいな。程度にしか考えていなかった。

じゃあなぜTHETAを使っているかなんだけど、実は使いはじめたのは去年からなんだ。

 

―えー!そうだったんですか?

そう、同僚が会社の忘年会のゲームでTHETA SCをゲットした。彼は使い方もわからないし、興味がないと言って僕にくれたんだ。

鉄球や一眼カメラがなくても、このカメラだけで360度写真が撮れるのか。と360度関連のユーチューバーBen Claremontのチャンネルで学びつつ使ってみるととても面白かった。彼は僕の先生。

特に360度画像を編集した「TinyPlanet」というスタイルが斬新で面白かった。そこからGoproやInsta360などいろいろな360度カメラを扱い、そしてTHETA Vを買った。

photo by Sujit Chachad

―ここだけの話、どの360度カメラが良かったですか?

毎日持ち歩いているのはTHETA Vだね

いつもTHETA Vが第一候補、なぜなら一番最初にSCを使ってたくさんの写真データがアプリにあって、身体が編集の仕方を覚えてしまっている。

だいたい毎日THETAで写真を撮っている、THETAだけでも1000枚以上のデータがあると思う。

 

Sujit流 THETAの撮影TIPSと編集方法

―Sujitさんの撮影の秘密をこっそり教えてください!

心構え「いきなり撮らず、その場所をよく見る」

まず、マインドセットとして僕が皆さんに提案したいことは、いきなり撮らずに、シンメトリー≒対称性を探せ。ということかな。

そして重要なのは建物や構造物といったシンメトリーのセンターに自分がいるということ。もちろん、撮影方法は各個人の考え方に依存するけれど、場所と自分の位置がよければ出てくるイメージも良くなることが多い。

撮影した後に僕は、360度イメージを編集しながら「タイトル」と、ストーリーを伝えられるような「説明文」を考える。そうすることで見る人はイメージを掻き立てられ作品に対してより興味をもってくれると思う。

コツその1「手を安直につかうな」

やりがちだけど、こんなふうに撮ったら良くない場合が多い。

なぜなら、この手の位置で撮影するとあなたの手が自分の頭より大きくなってしまう。

もし自分を写真のなかに入れたいのなら、カメラは頭の近くにしてみる。こんな風に目線と同じくらいの高さに。

そうすると写真の中で手が頭よりも小さく自然に写る。これは是非覚えておいてほしいテクニック。誰も手のアップなんて特に見たくないよね。たまに爪が汚いこともあるだろうし(笑)。

この写真は今見せたように、自分の目の前でTHETAを構えて写真をとったものだよ。手が自動的に小さくなっているよね。

 

 

360度カメラは全てを映すので、自分がどこにいるかもとても重要。もし自分を被写体にするのなら自分の位置をメインと考え、カメラをどこに配置するかを考えよう。

もし自分を写真の中に写したくないのなら、僕はいつも三脚を使ってTHETAを撮影場所に設置して隠れるよ。

 

コツその2「AUTOモードでHDR合成とマイナス補正を活用する」

2つ目のTipsはいつも「AUTO撮影モード」でOption Setting「HDR合成」を設定し、露出を-0.3~0.7EVほどマイナス補正しておくこと。

なぜならマニュアルモード、ISO優先モード、シャッター優先モードは多少知識が必要で誰もが簡単に扱えるものではない。みんなAUTO撮影モードで手軽に簡単にに撮ることを好むはず。
なのでオートのオプション設定でHDR合成を使う。そしてマイナスEV補正をする。

-HDR合成とマイナス補正の理由はなぜですか?

HDR合成を設定することで、ダイナミックレンジ(※写真の明るい場所と暗い場所を同時に写せる場所の幅)がとても良くなる。
たとえば白飛びする(※写真の明るい部分が真っ白になりディテールが失われる)ような撮影条件でもHDR撮影ならばその場所の情報をしっかりと残して撮影ができる。

-0.3~0.7EVほど多少マイナス補正をすることで、ハイライト(※写真の中の明るい部分)の情報が残りやすくなる。シャドー(※写真の暗い部分)はLightroomやSnapSeedといった編集ソフトで後から持ち上げることが可能。

例えば、この夜景の写真はHDRとマイナス補正1.7EVで撮影した。看板に注目してほしいけど、白飛びせずにしっかりと情報が残っているよね。

photo by Sujit Chachad

僕のInstagram(@sujitchachad)の作品には撮影シーンごとの具体的な設定が書いてあるので参考にして欲しい。

 

撮影から編集までの流れとおすすめ使用アプリ

―Sujitさんの作品をみているととても真似できる気がしませんが、どのようなアプリを使ってどういう順番で編集しているのですか?

僕の作品作りの大枠の流れは

【撮影】→【データ移動】→【編集】Lightroom.SnapSeed→【トライポッド除去】TouchRetouch→【リトルプラネット化】THETA+ or RollWorld→【共有】Instagramなど各種SNS

この作業は全部iphoneでやっている。だいたい通勤中に作業することが多いかな。

たくさんのアプリを使うけれど、編集フローで色に関しては「Adobe Lightroom」か「SnapSeed」というアプリを使うことが多い。もしもっと選択肢が欲しいなら「AfterLight」もいい。Lightroomは毎月課金だけれどもこれは1回の買い切りなので余分なお金が必要ない。

 

LightroomやSnapSeedは多少画像編集の知識が必要になるので、もし難しくて扱うことができないのならInstagramフィルターが最も簡単で効果的だよ。

その後に三脚の除去を行う。これはSnapSeedの無料の機能でもできるけど、この「TouchRetouch」の方が性能がよい。アプリも一回買い切りで数百円くらい。

SnapSeedやInstagramのフィルターで微修正を行うことがある。

 

―動画はなかなかハードルが高くて手がでないのですが、Sujitさんのカッコいい動画はやはりPC等を使ってゴリゴリ作ってるのですか?

動画の編集もほとんどスマホで電車の中でやってるよ。

Video編集のアプリは主に「LumaFusion」「LumaTouch」を使っている。

Youtubeビデオやちょっと作業量が大きいビデオはiPadProで作業している。PCを使うのはアニメーション用途だけで、THETAの動画編集にPCを使うことはあまり無いかな。

動画一本つくるのにかかる時間は30分程度だね。ビデオ編集の経験があるからクリップ構成のやり方、トランジション、エフェクトのかけ方といった基本的な事を知っているんだ。

これからチャレンジする方は、最初は動画制作の少し仕組みの理解に時間がかかるかもしれないけど、慣れればこんな動画であれば簡単につくることができようになるはず。この動画は3つのクリップしか使っていない。

 

THETAにピッタリのGear

―前回の撮影MEETING(>>THETAで360度マップを作ろう横浜MEET)でたくさんTHETAの撮影用機材を使っているのを見ました。どのような機材をつかっているか教えてください。

今日はギアを全部もってきてないけど、
三脚に関して良く使うのはこの小さい2つ。コンパクトで軽いから持ち運びや扱いやすいよ。

・マンフロット POCKET三脚S
・JOBY ミニ三脚 マイクロトライポッド

手持ちでしっかり撮影したり、セルフィースティックとして身体から離してつかう時に必要になるのが、ロッド。

僕が使っているのはブッシュマンのロッド。こんなふうにリュックに入れてる。

・Bushman モノポッド

これがブッシュマンに付属のスタンド。

こんな風に自分のギアをみせたことがないのでおかしいよ(笑)

今説明したロッド&スタンドとミニ三脚がだいたい普段持ち歩いているセットかな。

そして、このスティックの先に取り付けてある「FeiyuTech Handle Charger Battery」は約3000mAhのバッテリーを内蔵しているので、ビデオを撮る時や、たくさん撮影したい時にとても役に立つよ。

 

ちょっと僕の撮影用セッティングをしてみるから見てて。

このセットだと自分のイメージを実現できるように自由な撮影ができて、ほぼ丸一日バッテリーについての心配しなくてもよくなるんだ。

THETAへの要望

―THETAに対する要望があれば教えてください。

僕のTHETAへの要望はアプリだね。

例えばレタッチのアプリのあとにTHETA+に戻るとなぜか設定が全部消えてしまうのでTHETA+に戻ることができない。なぜかはわからないけど、編集したあとにタイニープラネットにしたいときはTHETA+を使うことができない。

そのほか気になっていた点でいえば動画のスタビライゼーションだったけど、今回のアップデートでInsta360と同じ程度までだいぶ改善したと思う。

ただ、動画編集に関してもTHETA+のアプリで出来ることが少ないことが残念な点。編集機能が弱いのでPCにデータを移行しなければ行けないけれども一般的なユーザーはファイルの移動だとかそんな面倒くさいことはしたくないはず。

ビデオの書き出し設定ももっと充実させて欲しい。Instaにはたくさんの書き出し設定がある。Youtubeにあげにくい場合がある。アプリはもっともっと良くなるはず。期待しているよ。

 

―すばらしいお話をありがとうございました!

インタビュー後に新宿の街並みを撮影するSujitさん

 

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インタビュー・撮影 大原