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THETA Z1の上手な撮影方法について、プロの360度フォトグラファー・Sam Rohn氏に聞いてみた!

インタビュー

Posted date : 2022.02.04

アメリカのニューヨークに拠点をおくSam Rohn氏は、世界中の様々なシーンを360度で撮影している、プロのパノラマフォトグラファーです。今回は、パノラマフォトグラファーとして20年以上のキャリアがあるSamに、360度カメラ・THETA Z1を使った撮影・編集のテクニックや、バーチャルツアーを撮影する際のコツについて伺ってみました!

バーチャルツアー撮影で得た撮影のテクニック

これまで経験された中で、THETA Z1の初心者に紹介したい360度写真撮影のポイントはありますか?

長年の撮影経験の中で感じている重要なことが、いくつかあります。

「基礎を学ぶこと」

360度写真の撮影も、基礎的なポイントは通常の写真撮影と同じです。カメラの露出設定や構成などの基礎を学べば、どんなカメラを使ってもベストな写真を撮影できるようになるでしょう。

「RAWで撮影すること」

常にRAWで撮影しましょう。撮影後の画像チェックだけならJPEGでも大丈夫ですが、やはり一番良い結果が得られるのは、RAWで撮影したものを、Adobe Lightroom、もしくは類似の編集ソフトで丁寧に現像した画像です。

Photo by Sam Rohn – Spherical Image – RICOH THETA

「カメラをしっかり固定して撮影すること」

THETAが倒れたりしないよう、しっかりと幅広の脚が付いているスタンドなどで固定して撮影しましょう。脚が短い三脚で撮影すると、たとえ重しを加えていたとしても安定性がなく、三脚が転倒するリスクがあります。RICOH THETA公式の TD-2 Standのような、できるだけ大きな脚がついている三脚を利用するようにしてください。

THETA Stand TD-2は、必要に応じて重し(ウェイト)をのせることが可能です。リコー公式からはRICOH THETA スタンドウェイト TT-1いう、スタンドの安定性を高めるための、約700グラムの専用ウェイトが販売されています。このようにしっかりと三脚の脚元を固定することで、THETAのレンズを倒して傷つけるリスクを減らすことができます。

「フレアの発生を抑えること

多くの撮影初心者によくあるミスだと感じているのが、レンズに付いている埃や汚れによって、撮影した画像にフレアが生じてしまっていることです。つまり、常にきちんとしたケースでTHETAを保護することが大切です。

私は、THETA Z1には公式のTHETAZ1用セミハードケースTS-2をいつも使用しています。このケースはとてもコンパクトで、しっかりTHETA本体とレンズを保護し、外装もなめらかな質感で、バックにさっと入れることができるのでお勧めです。

また、レンズ用のやわらかい布でTHETAのレンズを綺麗に保つようにしておきましょう。できる限り液体のレンズクリーナーを使用するのは避けてください。レンズから汚れや泥をふき取るときは、レンズを傷つけないように注意深く汚れをふき取ってください。

THETA専用セミハードケースを付けたTHETAを、三脚に固定

360度写真撮影時の、設定のコツはありますか?

窓際や空のディテールが白飛びしないように、露出の設定を少し下げて撮影することが好きです。明るい部分よりも、暗い影のあるところからのほうが、現像するときに、ディテールを引き出すことができるのです。

撮影時にTHETAアプリのライブビューで確認する場合は、空や窓際など明るい部分の露出が上がりすぎていないかを、事前に確認するようにしています。白飛びしてしまうと、後で現像する時にディテールを引き出すことができません。しかしRAWデータで、できるだけ低めのISOで撮影しておくと、Adobe Lightroom Classic上で現像をするときに、シャドウを何ポイントか上げればディテールを引き出すことができます。どんなシーンでどのような撮影設定がベストかを理解するには、少し練習が必要になるでしょう。

<低露出で撮影した例>

<RAW 現像後>

日中の自然光と人工の光が混在するようなシーンでは、適切なホワイトバランスに調整して現像することが難しい場合があります。そういう時はグレーのカードやカラーチャートを使用すると、正確な色に調整することができます。

グレーカードは、適切なホワイトバランスを設定したいとき、また、カラーチャートは最終的な画像の色を正確に確認するために使用していています。プロの写真撮影の場ではよく必要とされる重要なアイテムで、私はAmazonで購入したものを使用しています。特定の光源などの条件下で撮影が求められる撮影シーンで使うことが多いです。色々な光が混在したシーンでの360度カメラを使った撮影は、通常の一眼レフカメラを使った撮影よりも難しいことがあります。

天候とロケーション

天候やロケーションごとの、撮影方法のコツを教えてください。

曇りの日だときれいな360度画像になりにくいので、仕事でバーチャルツアーを撮影する場合は、できるだけ曇りの日を避けています。また風の強い日も、木がぼやけて映ったり、雲に動きがあって光が一定でないことがあるので、少し撮影が難しいでしょう。ただ雨や曇りの日は、場所を選んでうまく撮影できれば、とても素敵な360度画像になる可能性もあります。

<雨天時の成功例>

Photo by Sam Rohn – Spherical Image – RICOH THETA

雨の中での撮影は、水滴をレンズから守るのが難しいです。そのような場合、私は帽子や傘でレンズを保護しながらさっと素早く撮影し、水滴がレンズについた場合はレンズクロスで丁寧にふき取ります。また綺麗に撮影するため、チャンスを伺いながら、数回撮影しています。

※THETAは防水対応していないため、ご注意ください。

場合によっては、撮影前にその場を少しきれいにすることもあります。ゴミ箱を隠したり、散乱しているケーブルやワイヤーを整理したり、テーブルに装飾品を置いたりして、見栄えの良いシーンになるように整えてから撮影しています。

ベストプラクティス

これまでバーチャルツアー用の360度撮影を数多くこなされたと思いますが、特にTHETAで撮影する際の大事な点について教えてください。

THETAZ1は非常に使いやすいですが、注意しなくてはいけないのは、撮影時のレンズのつなぎ目の位置ですね。つなぎ目部分は、レンズの中心よりも画像の明瞭さに少し欠ける可能性があります。そのため、レンズのつなぎ目部分にあたってしまう部分がきれいに見えるようにする必要があります。

レンズのつなぎ目部分(THETAの側面)を、何も模様などが無い壁に向けて配置したり、あまり重要ではない被写体にレンズのつなぎ目部分が位置するように、レンズの向き気にしてTHETAを設置し、撮影することをお勧めします

仕事で撮影した360度写真のなかで、特にお気に入りの場所はありますか?

これまで何年にもわたって、様々な素晴らしい場所を撮影することができて、とても幸運でした。そのなかでもニューヨークの国連本部は、最近仕事で撮影した中でもお気に入りの画像のひとつです。

Photo by Sam Rohn – Spherical Image – RICOH THETA

United Nations General Assembly Room

すごいですね!これは一般の人がなかなか入れない場所ですが、360度画像があれば、ここに訪問できない人でも国連本部の内部をリアルに体験できますね。プライベートで撮影したお気に入りの360度写真はありますか?

東京を訪問した際の画像です。雨の中や夜に撮影したこちらの写真がお気に入りです。居酒屋と飲み屋街の小道で撮影しました。

以前、東京を訪れた際に撮影したのがこちらの動画です。サムローン氏が撮影編集フローをご紹介しています!ぜひご覧ください。

今後、いつか撮影してみたい撮影地はありますか?

日本の田舎で撮影してみたいのですが、これまで東京のような大都市しか撮影したことがありません。また、イランにはとても美しい建築物があるので、いつか行ってみたいですね。他にも、インドネシアのバリと、イタリアのベニスにも再訪したいと思っています。

素晴らしい360度写真と便利なTIPSを共有してくれてありがとうございました!今後も素敵な作品を拝見できるのを楽しみにしています。

RAW撮影のTIPSについて知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。サムローン氏がRAWモードで撮影する方法やDual Fisheye (DFE) プラグインの活用方法を紹介しています。

 

 

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