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インタビュー

Sawamura Yohei(澤村 洋兵)×RICOH THETA インタビュー

Posted date : 2019.05.15

澤村洋兵さんは1985年京都生まれ。京都をベースに活動されカフェや街角の空気感、春夏秋冬の美しい風景を独自の味わい深い色で表現されるフォトグラファーです。
澤村さんには360度カメラリコーTHETAのクリエイティブ制作にご協力いだたいており、今回はインタビューの機会を頂いて独自の視点、美的感覚を養うことになったバックグラウンドから、カメラ・写真表現に向き合う姿勢、機材、360度カメラTHETAの魅力、そして今後の展望までお伺いしました。

―2019年4月よりフォトグラファーとして独立されたと伺っております。写真は昔から取り組まれていたのではなく多様なバックグラウンドをお持ちと伺いました、まずは写真を初め現在に至るまでのキャリアをお聞かせください。

僕自身、京都生まれ京都育ち京都在住の生粋の京都人です。これまでの経歴を時系列でまとめるとバンドマン→美容師→料理人→バーテンダー→料理人→バリスタ、珈琲焙煎士です。
バンドマンは中1の誕生日に父にベース・ギターをプレゼントとしてもらった事がきっかけでした。初めて弦を弾いたときの振動に身体が震えた。一人では何もできないのでクラスでバンドを結成し中学、高校の6年間は本気でミュージシャンを志しバンド活動に明け暮れる日々を過ごしました。高校のある日、進路希望調査があり希望欄が空白だったんですね。「ミュージシャン」しか書くことないな、と同時に音楽の道で食って行くことの険しさも感じていて。何を書こう?と思って悩んだあげく隣の席の友達が美容師と書いていたので僕も書いて出しました。

その後の流れで美容師学校の紹介を見ていたとき、僕の名前ちょっと珍しんですけど「洋兵」と同じ名前で活躍している先輩がいてココや!と運命を感じて受験しました。美容師学校も入ったら入ったでサロン業よりもずっとヘアアートをつくることに夢中でした。自分の作ったヘアアートで大会に入賞することが本当に楽しくて。

美容師学校を卒業してアシスタントとして社会人をスタートさせた後にも、作品を作れないことが何より苦痛となり別の道を探そうと退職する理由となりました。とはいえ食うために。という理由で料理屋でアルバイトをスタートしました。そこにいた一人の料理人さんがめちゃくちゃかっこよかった。発言する言葉、考え方、所作のすべて。どれだけ忙しくてもその方のテーブルや道具だけめちゃくちゃキレイなんですよ。彼に惚れていつの間にか「弟子入りさしてください。」と言っていた。その人について料理人として修行の日々を歩みます。料理人として技術も身に着け充実した日々を過ごしていたんですが、3年ほど経ったある日、突然その人に「お前がやりたいのはホントは違うやろ。」とズバッと言われ、ハッと気付かされた。

自分はほんまは何がしたいんやろ。と。

それまでの人生を振り返ったとき「アート」という単語が見えてきた。
もともと幼いとき幼稚園ではクレヨンで、小学校から水彩で絵を書き、バンド活動を通してオリジナルの音楽を創ること、職業人の美容師、料理人としても作品を作ることに楽しさを見出していた僕は「アート」に携わる仕事がしたいという思いが強くなりました。

 

―重要なところで運命的というか大胆なディレクションをされてますね。美容師、料理人というキャリアのためか、実際お会いしてみて職人的な雰囲気を感じます。

その後、京都でアーティステックなカフェ「Cafe Bibliotic Hello! 」に出会い入社しました。古民家を改築したカフェでオーナーさんと話をしても感性やビジョンが合った。

photo by @yohei_sawamura

当時はHello!で活躍したいとの一心で休みなく全力で働きましたね。すべてのポジションを覚えてパン職人まで全部こなした。ある程度のことがこなせるようになった時に、お店に足りないものはなんだろう。と、考えた。自信のあるメニューをブラッシュアップすることはもちろん、アート×フード×ミュージックのイベントを企画をしたり模索するなかで、カフェの本質はやっぱり「コーヒー」だ。と気づいたんです。

photo by @yohei_sawamura

そこからコーヒーに対する本格的な勉強がはじまって、いろいろと情報を集めていると当時日本に2台しかないバリスタマシーンのショールームの存在を知り、そこを訪問した時にラテアートのチャンピオンと出会いました。「僕もカフェでラテアートしたいんです。」という話しをしていると今度世界大会があるから出てみたら?というので乗り気になって。

応募選考方法は写真2枚を提出する。というもの。どうやらカメラがいるらしい。それまではスマホのカメラロールが数枚程度というほど写真を撮ることには興味がなかったんですが、たまたまHello!でもポートレート写真展を企画していて見ているうちに「めっちゃカッコええやん。」と急に興味が湧いてきた。カメラについて「カメラって高ぁ〜」みたいな話しをしているうちに友人数人と軽いノリで「写真部でもしよーや!」と写真部を結成しました。

―ここまでがラテアートとカメラとの出会う前のキャリアということですね。そこからはどのようにしてカメラを学ばれたのでしょうか?

そうですね、結局はアートに力を入れたかったのと、いつもどんな人と働きたいかを重視したキャリアでしたね。

カメラに関しては、一番最初に買おうと思ったのはPENTAX67で通称バケペンと呼ばれていたものです。バケペンで検索していたら濱田英明さんが出て来て、「カメラはなにつかってはるんのやろ?」と調べてこれがあればいいんだ。とその次の休日にCanon 5D mark2SigmaArt50mm、PENTAX67を購入しました。濱田英明さんセットで。笑

そこからラテアートとカメラを始めました。バリスタとしては順調にスタートが切れ、3ヶ月後にラテアート世界大会の予選通過し大会に参加することができました。

当時はインスタグラムの投稿欄にポートレートを2枚、ラテアートを1枚と写真をあげ続けていると少しずつイイネやフォロワーが増えて嬉しかったですね。どちらかというと自分はバリスタだ。という認識が強かったんですが、だんだんとポートレートの方にもイイネがつくようになっていきました。もっともっと良い写真が撮りたいと、一緒に写真部で始めた友人に負けたくないという思いがありました。これがだいたい4年ほど前です。カメラは独学ですね。なにも見てないです。目には入っちゃいますが、積極的にみたら真似しちゃうんで。

―なるほど。最初からフォトグラファーを目指していたわけではない。と、フォトグラファーとして独立を心ざしたきっかけ、心境の変化があったのでしょうか?

最初からプロを目指していたわけではないです。去年までプロになろうなどは全く考えてなかったです。以前から仕事の依頼は頂いていましたが、あまり受けておらずお断りすることも多かったです。

一方で、Hello!でやりきったという思いを感じていた。「Hello!をやめよ。」と思った。先に辞めよう。という気持ちがあった。何しよ。確かに写真とることは好きかもしれない。でもカメラマンになるとか無謀やし、もう年齢も30も超えていてそんな年で転職したらあかんやろ。と。葛藤も大きかった。でも、自分の好きなことをしてないって自分らしくないな。と。自分の根本のアイデンティティとして昔から「好きなことをやっていく」と決めて生きてきたので2019年4月からフォトグラファーとして独立して生きていくことを決心した。

そのあたりからInstagram以外にもTwitterなどでも積極的に発信を始めた、また国内最大級の写真の学びサイトCURBONからCCO(Chief Creative Officer)打診という運命的な出来事もあった。

―澤村さんの写真はとても味わいの深い色が特徴的です。いま現代は、みな良いスマホやカメラを持っていて誰もがフォトグラファーとも言えると思います。そんななかで澤村さんはどのように他者との差別化というか、澤村さんの色や表現を確立されたのですか?

あえて人と違うものという感覚は全くなく、自分がどんな表現が好きかという気持ちしかない。いろいろなプリセット(写真をデジタルレタッチする時の各種数値を自分好みに保存したフィルターのようなもの)を参考にして自分の好みのプリセット作ってもっとカメラと写真が好きになりました。実は自分が撮っている写真は仕事も全部このプリセット1個しか使っていなくて、撮影するときもいつも自分のプリセットありきでそれに合う場所や風景をイメージして撮っている。自分のコアです。

このプリセットは販売することになったのですが、もともと世の中に沢山出回るのが嫌なので価格をめっちゃ高く設定した。自分のなかでは高く売りたいというよりも本当に思い入れがあり大事という気持ちがあった。結果なぜかめっちゃ売れてしまいました。僕のせいでプリセット価格の相場が高くなってしまったと言われた。笑

―この記事を読んで頂いている方を代表してお伺いしたいのですが、これから写真始める方にアドバイスはありますか?

まず、大前提として、自分が主催した写真教室でも話をした事ですが、ポートレートなら写真の技術よりモデルさんとのコミュニケーションが大切です。それは相手を思いやる気遣いや会話そのものを楽しむということです。ほんまに重要視している。

上達に関してはよく言われる「数撮れ。」は当たっているけど、一枚一枚の意味が重要。いつもより一歩前、一歩引いて撮る、違うレンズで同じ被写体を撮る。絞りを変える。などの少しのチャレンジの積み重ねていけば誰でも絶対うまくなる。そのひとつひとつの違いが分かって、自分はどっちが好きかについてしっかり考える。その「好き」をつなげていくとオリジナリティになると思う。
料理も同じ、例えばカレーを作るとして毎日おなじレシピを繰り返しても美味しくなることは無い。カメラも同じで少しずつでもチャレンジしていかなければうまくならない。

ここではこのカメラの設定で撮らなければダメだとか、囚われずにいろいろチャレンジすればカメラってもっと楽しいですよ。

―今はどのような機材を使われていますか

ボディは今はSonyのα7R2とリコーGR3ですね。
リコーのGR3は常にもっているカメラですね。いちばん持ち歩いている時間はGRです。ホントにGR大好きです。
レンズはCanonのオールドレンズnew fd 35mm f2とSigmaのArt 35mm50mmです。ほぼこの3本ですね。今後も変わらないと思ってます。僕はポートレートでその場の空気も撮りたいと思ってます。なぜかというと、どういう場所でどういうことをしているか、ライフスタイル込みでその人やとおもっているから。35mmは空間を撮っていて、50mmはその人の人間性や感情が撮れると思っている。

―360度を一度に映すことができるカメラRICOHTHETAですが、実際に使っていただいていかがでしたか?フォトグラファーさんには超広角レンズのラインナップとしてもつかえるのかな?と。

そうですね、もちろん超広角レンズとしても使えると思いますが、THETAの良さって、カメラ以上にみんなと楽しめるカメラだと思うんですよ。

どうしても普通のカメラだと、撮る側と撮られる側に役割が分かれてしまうけどTHETAで撮ろうという時だけは「こっからやったらええんちゃうん?」「あ、なら私はこうしたほうがいいかな?」とみんなで意見を言い合ったりアイデアを出し合える。撮った後にも「どんなんなったん~?」ってぱっとみんなでスマホに集まって撮った写真を確認、編集してみんなでワイワイ楽しめる。

僕がリコーさんに納品する写真ってあまり関係のない一般の方はうつさんといてください。みたいなのがあったので、実際にTHETAで写真とる時には、同行人に「ちょいここで撮るし、みんな隠れてや!!」みたいなワンアクションがあったりしたんですが、そういうのもめっちゃ楽しい。笑

THETAがあるだけでちょっとしたエンターテイメントが起きるなと思っています。普通に飲み会してても、わざわざ肩ぶつけるくらいまで寄ったりせずに「撮るでー」ってそのままTHETAでパッって撮れるから。みんなで楽しめるすごいいいカメラと思いますね。

photo by @yohei_sawamura

―THETAのお気に入りポイントとか表現とかあります?

2面性があるカメラだと思います。 「みんなで楽しめる」と「カメラ以上の表現力」。

みんなで楽しめるでいうと、撮ってるときはいつも楽しかったです。コンパクトで携帯性もいいんで、飲み会でカバンからサッと出してみんなの集合写真撮るとか、旅行先で大きいカメラかたずけちゃっててもポケットにいれておけるので、ちょいみんなで撮ろうや!って使える。気楽にイェーイってていいながらボタン押すだけで簡単に撮れて景色ごと映る。

カメラ以上の表現力でいうと、上に桜が合って下に菜の花がある場所で撮影した一枚を編集する場合も、桜をメインにするのか菜の花をメインにするのかで、もう全然違う。写真だけど普通のカメラじゃ表現できない域のアート感がありますね。

photo by @yohei_sawamura

THETAはカメラ以上の可能性を感じるカメラです。カメラを買うときは普通「こんなの撮りたい!」っていう思いが先にあって買うと思うんですけど、THETAは買った人がどう使うかを考える。使いみちが無限大で、今THETA使っている人も全然想像がつかないような使い方や表現がどんどん出てくると思いますね。

―今後の展望について是非お聞かせください。

写真が好きなのでどっかでシャッターを切っていたい。

そして僕は、写真という世界が好きでこの楽しさをみんなにもっと知ってほしい。もっと写真とるのって楽しくて、シャッター切るのって楽しいって事。これは自分が好きやからって一人でこそこそシャッター切ってても伝わらへんことやから、僕もある程度メディアに出て行きたい。しかも30歳すぎても仕事変えても、ここまでチャレンジできるんだよ。と、なにか夢に向かってても自信なくなっている人に勇気を与えるような存在になりたい。

どうやって伝えるのか。そのための手段という点でCURBONっていうカメラを教える会社があって僕はそこに参画している。そこで活躍して行きたい。

壮大なテーマで言えば、「世界で一番カメラを楽しめる国、日本。」にしていきたいと考えている。それっていきなり実現できるものではないから、僕はメーカーやユーザーの真ん中にいて繋げられる人になりたい。

だから例えばTHETAを知らない人も僕を通して知ってもらえたら嬉しいと思ってる。

ありがとうございました。

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Sawamura Yohei(澤村 洋兵)さん

Instagram @yohei_sawamura

Twitter @yohei_sawamura

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取材協力:INSPIRATION CULT BAR & GALLERY 

取材撮影:大原