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現代アーティスト兼子真一さんとTHETAをコラボさせてみたら、「カネコフィルター」なるプログラムができあがった話

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Posted date : 2022.01.05

リコーでソフト開発をしているDと申します。若気の至りと申しましょうか、《THETAと芸術をコラボさせたい!》と思い立ち、THETAの企画の方にプレゼンして了承を得、現代アーティスト兼子真一さんに今回のコラボの話を持ち掛けたのが、今年の7月のことでした。

それから半年間、兼子さん(アート)と私(技術)の力を、お互いの信頼関係、想像力・創造力の上で衝突させた結果、下記の絵画作品が誕生しました。

コラボで誕生した絵画作品「洞窟で踊る人々」

180cm x 180cmのキャンバスに描かれた「洞窟で踊る人々」。兼子真一 作。2021年

そして、副産物として「カネコフィルター」なる映像加工処理プログラムができあがりました。意味不明すぎると思いますので、以下、概説させていただきます。

コラボで完成した作品を紹介する動画

まずは、こちらの動画をご覧ください。

「カネコフィルター」

意味不明さが増してしまったかもしれません。

「THETAはどこに絡んでいるの?」

「ピカソのような抽象画なの?」

「カネコフィルターって猫と関係あるの?」

それぞれについて、ざっくり説明させていただきます。

THETAはどこに絡んでいるの?

この動画でTHETAが絡んでいるのは、 [0:45]、[1:09]、[1:13]のところです。

今回のコラボでは、兼子さんがアート作品を創作することに加え、私がコラボ自体を映像として表現することに挑戦しました。その動画を制作するにあたり、兼子さんにTHETAを送ったうえで、「THETAをてきとうな場所に置きながら撮影しておいて下さい」という無茶ぶりをさせていただきました。THETAの使いやすさ・使いづらさの生の声を聞きたい、という理由からです。

[0:45]のシーンは、兼子さんが撮影してくれたTHETA動画を、私のほうで編集して使用しました。「墨壺」と呼ばれる道具を色付けのために駆使している兼子さんの手元を、カメラがパン&ズームして撮影しているような動きを後から付けることができました。

[1:09]のシーンは、アトリエの中央で撮影したTHETA静止画を、私の開発した「カネコフィルター」に通して、自動生成した映像をそのまま使っています。

Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA


アトリエで絵を描く兼子さん+THETAで撮影している私

ピカソのような抽象画なの?

今回創作されたアート作品「洞窟で踊る人々」は、何の絵に見えますか?

解釈は人それぞれ自由ですが、人の顔、手足がいくつも重なっている絵になっています。たとえば右上に一人の顔があります。見えますでしょうか?

「手足のもつれ、人間の重なり合いによって、物事の関係性を表現する」、兼子さんの「群像シリーズ」の作風に、カネコフィルターによる「デジタル感」が加わったように見え、兼子さんとしても「この新たなシリーズに名前を付けたい」と、今回のコラボに手ごたえを感じてくれています。

人物ドローイングを印刷したフィルムを重ね合わせ、想像力を駆動させている兼子さん

カネコフィルターって猫と関係あるの?

「関係あります」と答えると、兼子さんに苦笑いされそうですが、兼子さんも私も猫が大好きで、兼子さんの名前の一部にも「ネコ」が隠れていることもあり、今回開発した映像加工プログラムを「カネコフィルター」と呼ぶことになりました。

兼子さんが世界を切り取っている着眼点をヒアリングし、人工知能や独自の描画アルゴリズムを組み合わせて、私が開発した映像加工プログラムです。当初は、THETAプラグインとして開発・搭載しようと思っていたのですが、実時間で処理しきれないなどの理由で、今回はパソコン上で動くプログラムとして実装しました。

THETAを使ってみた感想

兼子さんにTHETAを使ってもらった感想を記載します。

・使い慣れるまでが大変。アプリが必要だったり、接続設定したり。普通のカメラのように、ぽんと渡されて、ぱっと誰でも使えるようになると敷居が下がるはず。

・THETAの魅力は、想像力を掻き立て刺激するところ。想像力や思いつきがTHETAの機能に、最短で届き、バリエーションを楽しめたら最高だと思います。

・360度撮れることを知ったうえで、どこにどのように置けば、どのような「絵」が取れるのか把握するのに経験が必要。

・ドローンにTHETAを搭載し、撮影時に飛び立って上空から撮影し、手元に戻ってくると面白い。

私の感想も記載します。

とりあえず何も考えずにTHETAを置いて、空間をまるごと撮影してもらい、あとから編集で動画のような動きを付けられるのは非常に便利です。動画編集時、映像としてパンやズームをした場合に、音声の定位や音量も自動で変化するような方法があると、音の臨場感が増すかもしれません。

今後の展開について

兼子さんは、カネコフィルターを使った作品を今後も制作していく予定とのこと、私もカネコフィルター自体を改良していき、芸術と技術の二人三脚で、兼子さんの新たな表現に寄与できればと思っています。

現代アーティスト兼子真一さん情報

現代アーティスト兼子真一さん

兼子 真一【かねこ しんいち】

1974年生まれ。東京藝術大学デザイン科卒業(1999年)。東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了(2001年)。「関係」をテーマに、春画の手足に着想を得た「the Couple」シリーズを制作。手足のもつれから関係の可視化を試みる。彫刻・絵画・ドローイングなど多岐にわたる表現で活動。

HP:http://www.shinichikaneko.com/

Instagram:https://www.instagram.com/kanekoshinichi_art/

 

投稿者紹介

リコーでソフト開発をしているD。副業で映像制作などを手掛ける。17年前に兼子さんの個展に行き、作品に一目ぼれしてから兼子さんを応援するようになりました。猫好き。

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