世界中で仕事に、そしてプライベートでも色々なシーンで活用されている、360度カメラのRICOH THETA(リコーシータ)。

この一年はコロナパンデミックの影響で、多くの人たちの仕事シーンにおいて「現場に足を運びにくくなる」という大きな環境の変化がありました。一方で、360度カメラのTHETAは、その撮影した360度画像を共有することで、現場の空間をリアルに他の人に伝えることができる、という強みがあります。

そのためTHETAを仕事や学びの場でご活用頂く事例が、世界的に急増しています。そして、THETAが活用されるシーンのひとつが「建築設計等における現場調査」です。

今回はイギリスのNorthumbria大学で、建築デザイン学部の講師をされているTHETA SC2ユーザー・Ben Couture氏に、コロナ禍だからこそ授業のプロジェクトでTHETAを有効活用できた事例をインタビューしました!

はじめに、Benさんご自身の経歴について、お聞かせください。

イギリスのNorthumbria大学で、建築環境学の講師をしています。大学での講師の仕事以外に、デザイン系の会社も約15年間経営しており、国立美術館やさまざまな企業と建築デザインに関する仕事をしてきました。

素敵なお仕事ですね。そんなBenさんのお仕事で、360度カメラTHETAを活用することになった背景を教えてください。

360度カメラのTHETAを使い始めたきっかけは、まさに昨年のコロナ・パンデミックの影響です。コロナの影響で授業中に生徒たちと一緒に建物の現場に足を運んで調査するということができなくなりました。

インテリア建築の学問においては、学生たちがプロジェクトの対象となる現場に足を運び、建築設計のアイディアを検討するという経験が重要になります。しかし、コロナの影響で実際に現場に行くのが難しくなったため、生徒たちが現場に行かなくても内装を検討できる新しい手段を考える必要がありました。

そんなときに、360度カメラ THETAの活用を思いつきました。THETAを使えば、生徒たちが現場に実際に行かなくても、私が撮影した建物の360度画像を使って以前と同じようなデザインの改修について検討ができるのでは、と考えたのです。特に、既存建築物をリノベーションして再活用するという大きなプロジェクトの課題がある、大学最終学年の生徒向けに活用しています。

確かに、遠隔でも空間をリアルに伝えることができる360度カメラは、コロナがきっかけで、世界中の幅広いシーンで活用されるようになりました。Benさんは、RICOH THETAをどのように知ったのでしょうか?

Autodeskという3D CADソフトウェア開発の会社で働いている友人から、彼が使っているTHETAの話を聞いたことがきっかけです。彼のTHETAを貸してもらい、建築物の現場調査で活用できることを確認しました。

その後、私が勤務している大学でもTHETA SC2を数台購入することになったのです。もともとTHETAは、自分が所属している建築系学部のみでの活用を考えていました。その後、建築以外の専攻の学部の調査でも、THETAが導入されたと聞いています。

実際にTHETAを使ってみて、いかがでしょうか?

最初、THETAは難しいカメラなのではと思っていましたが、実際に使ってみると直感的で使い易いカメラだと感じました。忙しくて現場に滞在する時間が短いような場合でも、ワンショットで360度空間を撮影することができます。そのため、私自身の現場調査における仕事のプロセスが大きく改善されました。

THETAアプリをスマホにダウンロードするだけで、撮影した360度画像を閲覧することができます。また、詳細な撮影設定などもTHETAアプリ上で操作することができるため、とてもシンプルな使い方だと思います。

どのようなシーンで、360度カメラの活用が便利だと感じましたか?

360度カメラは、特に「室内空間の撮影」に最適だと思います。建物内部の三次元的な空間の要素を、すべて記録することができるためです。そのため生徒たちは、既存建築物の壁の様子や床の状態を、360度画像で各方向を細かく確認することができています。

THETAで撮影した360度画像は、たとえそれが静止画であっても、普通のカメラで撮影した静止画や、動画が持つ情報量を、遥かに超えていると感じています。

※ここは、市内中心のある一角にある現在改装中の歴史的建築物です。この建築物をどのようにリノベーションして再活用できるか、というのが学生たちの課題でした。

具体的なBenさんの撮影方法を教えてください。

建物全体を把握することができるように、まずTHETAで各部屋をすべて記録します。THETA SC2本体のシャッターボタンや、セルフタイマーボタンを使って簡単に撮影することができます。また、すべてちゃんと映っているかを確認するために、私は撮影前にスマホのTHETAアプリと接続して、何か隠れて映らないものはないか、照明が適切かなどプレビューで確認してから撮影しています。

撮影後現場を離れる前に、ちゃんと撮影できたかを最終チェックすることもおススメします。その後THETAからスマホに転送した360度画像を、仕事の画像やドキュメントの保存用として使っているDropboxなどのクラウドに保存しています。ただ、Dropboxは360度画像表示に対応していないため、学生たちに共有するときは360度画像表示に対応しているGoogle photosを利用しています。

THETAはBenさんの今後のお仕事でも、引き続き活用できそうでしょうか?

THETAのような革新的で使いやすいテクノロジーは、私のような教育や現場のリサーチに、とても大きなメリットがあります。THETAは現在のようなコロナ・パンデミック下の社会でも、コロナ後の社会においても、引き続き大きな役割をもたらすでしょう。

※この階段には、イタリア風の珍しい帝国風デザインが施されてます。学生たちは、この歴史的な建物・機能をそのままリノベーションして新しく生まれ変わらせるというプロジェクトに取り組みました。

360度画像は、学生たちにどのようなメリットがありましたか?

特に既存建築物をリノベーションするというインテリア建築の分野において、THETAで撮影した360度画像は、実際の雰囲気や空間すべてを記録して遠隔でも伝えることができる、というメリットがあります。

その共有された360度画像を見ることで、インテリア建築を学ぶ学生は、建物の空間や雰囲気を現場に行かなくても、感じることができるのです。

360度画像は、まず学生たちが課題となっている既存住宅の空間と雰囲気に慣れるために活用されています。さらにそれにプラスして、その画像をスケッチすることで、さまざまなアイディアやコンセプトに変えることができるという点も、デザインの初期の段階でとても有効に働いています。学生たちはそれをもとに、自由なデザインをイメージしながら再設計することができるのです。

<学生: Aleksander Roszczyniによる、360度画像を元にした線描>

<学生:Keith Ewingによる現場調査画像をもとにした線描>

また、今後はTHETAで撮影した360度画像を活用して、学部の構内をバーチャルツアーで表現することにもトライしたいと考えています。それによって、大学に興味を持ってくれた将来の新しい学生たちに、学部をバーチャルツアー上で体験して頂くことができるのではと思います。

THETAは現場調査だけでなく、さまざまなシーンで活用できそうですね!学生さんの反応を教えてください。

特に現場に何度も足を運ぶことができないコロナ禍の状況下で、いつでも気になった時に現場調査時の360度画像を確認することができ、とても便利だったという反応がありました。また、実際に撮影した360度画像をデッサン等に活用することができた点も良かったそうです。

コロナ・パンデミックで色々な活動が制限されましたが、このプロジェクトの経験で「360度カメラで撮影した画像を使えば、実際に現場に足を運ばなくても、以前と同じような作業をすることができる」という、予想外の気付きに繋がったのです。

<Visual over photo by Keith Ewing>

THETAをさまざまなプロジェクトで活用して頂き、ありがとうございます。今後も、建築デザインの教育や調査の現場でも、THETAをぜひ活用してくださいね!

翻訳・編集:平川

Northumbria Interior Architecture on Instagram: @nuinteriorarch

Credits: Ben Couture, Senior Lecturer
Northumbria University, Department Architecture & Built Environment

Design brief text and additional site images credit: Andrea Couture, Program Leader Interior Architecture BA(Hons)

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